コラム

セラミック治療と金属アレルギーについて

2016年8月8日

セラミック治療と金属アレルギーについて

[セラミックの被せ物=金属アレルギーの心配がない]という説明を目にしますが本当でしょうか。
林歯科医院では症例によっては金属アレルギーをおこす可能性があると考えています。
 
例えば根っこの治療をした歯に「セラミックの差し歯」をした場合です。歯の神経を取った後の空洞はガッタパーチャと言われる粘土のようなもので封鎖します。これには微量の亜鉛が含まれるので根っこの先から金属イオンが漏れることがあります。
差し歯に太い金属の芯棒が入っている場合も同じです。セラミックで封鎖するので関係ないと言う意見もあるようですがある歯科大学の実験で金属イオンが象牙質(根っこの部分)の微細な管から極微量ですが漏出することがわかっています。
 
金属アレルギーを発症すると金属に対して非常に体が敏感に反応してしまうようになります。その治療としてセラミック治療を行う場合は上記の事に対しての対策も必要です。
安易にお口の中の金属を除去してセラミックスに置き変えればよいという事ではなく、その症状がどの種類の金属に対して起きているのか、それ以前に本当に金属アレルギーなのかという事から調べる必要があると思います。当院にはその検査設備がないので大学病院の歯科アレルギー科に診断をお願いしてから必要な治療を始めます。
 
セラミックスの一種でジルコニアという素材があります。金属と同等以上の強度があり従来のセラミックスの弱点をカバーしています。これはジルコニウムという金属の酸化物で非常に安定した物性で金属イオンの溶出も非常に少なく生体親和性が高いとされ、今のところ最も金属アレルギーの原因となりにくいものの一つだと思われます。実際、大学病院の歯科アレルギー科でも金属アレルギーに対応できる材料として使用されています。
しかし数十年前にチタン製のインプラントが開発された時にはチタンに金属アレルギーはないとされていましたが現在は極稀ですが金属アレルギーの発現が確認されています。そういう意味ではジルコニアも今後、データの蓄積が必要だと思います。
金属アレルギーは難治性で患者さんにとってつらいものです。その不安を煽るような説明や金属アレルギーの心配がないといった極論は問題だと思います。