ラバーダム
歯の根っこの治療をする時に折り紙の様なゴムのシートに小さい穴をあけて、その穴から治療する歯だけを出します。
これで唾液がいっぱい(バイキンがいっぱい)の口の中と術野が隔離されます。
写真で想像がつきますでしょうか?
何故、このラバーダム防湿をするかというと根管(根っこの中の管)の中をせっかく消毒しても唾液がついてしまうと根管治療の成功率が著しく下がってしまうからです。また、刺激の強い消毒液などから口の中の粘膜を守る役目もあります。
初めてラバーダムを使用する患者さんには絵を使い、口頭で説明するのですがびっくりする方が多いです。
「ゴムの臭いが嫌だ」と言う患者さんにはミントの香りのシートも用意しているので我慢してください。
最初は息苦しいんじゃないか、唾液がたまって溺れちゃうのではないかと心配する方もいらっしゃいますが当院では息苦しくないように小技もありますし、唾液を吸う小道具も色々ありますのでほとんどの方は慣れてしまいます。
当院の根管治療は一回あたり一時間以上かかることが多いので使用した方が楽だとおっしゃる患者さんも多いです。
当院では歯に白いプラスチックを詰める時にもラバーダムを使用することがありますが日常的にそれらを行っている歯科医院は日本では非常に少ないです。
この理由の一つとしてラバーダム防湿法は日本の保険治療の工程(報酬)の中に含まれていないという事があるのかもしれません。
ラバーダムシートの装着は慣れれば数分で出来ますがそれらの器具の滅菌などの手間やコスト、ラバーダムシート代、シーリング材代は保険治療の場合は歯科医院からの持ち出しとなります。
日本の根管治療の成功率は5割程度と聞きますから他の先進国とは非常に大きな落差があります。
成功率を少しでもあげるのにラバーダム防湿法は有用ですので私は使用した方が良いとは思いますが上記の理由もあってなかなか難しい問題です。